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シリーズ 映画×教育

小学生が親子で戦争を考える機会に ―夏休み親子上映会開催―

札幌市立屯田小学校(新保元康校長)で8月19日、同校のPTAと教員が主体となって夏休み親子上映会が開かれた。

同上映会は、映画雑誌「キネマ旬報」を刊行するキネマ旬報社の協力のもと、昨年大きな話題になった『この世界の片隅に』(第40回日本アカデミー賞 最優秀アニメーション作品賞受賞。

2016年・第90回キネマ旬報ベストテン日本映画第1位)を上映。同作は、昭和19年、第二次大戦中に軍港のある広島・呉に嫁入りしたすずを主人公に、戦況が刻々と悪化する中でも前向きに日々の暮らしを愛おしみながら生きていく一人の女性の姿を描いている。

上映会には同校の児童とその家族158名が参加。子どもたちは普段触れる機会の少ない「戦時中の人々の暮らし」をテーマにした映画に戸惑いを見せる一方で、教科書などで知る「戦争」とは違った何かを感じ取っている様子だった。

家庭で戦争について考えるきっかけに

今回の親子上映会のねらいや開催決定の経緯について、屯田小学校PTA会長の神林達也氏に話を聞いた。

PTA会長に就任するにあたり「子どもたちのためになることには積極的に取り組んでいこう」と決心をしたという神林会長。今回の上映会の話も子どもたちに気づきを与える機会になるとして開催を決め、学校と連携して準備に取り掛かった。

また、戦争を題材とした映画を親子で観ることに関して「日頃から家庭で子どもと戦争の話をする機会はあまりないが、この作品を観た後なら、自然に子どもと戦争に関する話をすることができる。親子で一緒に観ることでそのような利点もあると思う」と話し、家庭で戦争について考えるきっかけになればという思いを語ってくれた。「今回は親子でというコンセプトだったが、次回開催することがあれば三世代で映画を観る機会にしたい。また、小学校だけの開催にこだわらず、地域の方、中学生にも映画を観てもらえる上映会にしたい」と地域ぐるみで戦争について考える機会にしていきたいという考えを示した。

映画を通じて子どもの気づきを促す

「子どもの成長と映画の関係」について会場で実施したアンケートの「映画は子どもの成長にプラスになる」という設問に関し、約9割の保護者が「とても思う」もしくは「思う」と答えた。また、「学校などの教育施設で、子どもが映画に触れる機会を増やしてほしい」という設問に対しても、多くの保護者が「増やしてしい」と回答している。

母子で参加した6年生の則末君は「勉強になった。戦争のことをもっと詳しく知りたいと思った」と感想を述べた。「北海道と広島ではかなり様子が違うので、その部分は難しかったかもしれない。今まで映画を一緒に見る機会はあったが、戦争をテーマにした映画を一緒に観たのは初めてで、いい映画を一緒に観れてよかった」と則末君のお母さんは話してくれた。低学年の畠山さんは「難しくてわからなかったけど、戦争のところは怖かった」と語った。

畠山さんのお母さんは学校で映画を観ることに関して、「私たちの頃は戦時中の出来事に関心を持ち始めるのは中学生くらいの頃だったので、小学校低学年のころからこういう映画に触れるのは、きっかけしていいと思う。ただやっぱりちょっと難しかったねぇ」と我が子と苦笑いを交わした。

その場にいる全員で一つの作品を共有できる映画。学校と地域社会が連携して子どもたちの育成を行っていく一つの手段として、これからも新たな展開が期待される。

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